やってはいけないスマホの取り扱いかたを教えて!
実験結果をもとにプロが解説

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スマホは身近で欠かせない存在です。ただ、あまりにも身近すぎて扱いが雑になっていたり、やってはいけない取り扱いをしてはいませんか。

注意すべき点は何でしょうか?そして、いったいどんなトラブルがあるのでしょうか?

KDDIでスマホの品質を管理する担当者に話を聞きました。

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KDDIプロダクト品質管理部 桑田 卓哉

充電端子の発火事象について実験

―――スマホが発火、発煙、発熱した、といったようなニュースを時々聞きますが、実際にはどういう症状があるのでしょうか。

桑田:スマホを充電中に「充電端子から発煙した」、「充電端子が溶解した」というご申告があります。スマホの充電端子や充電ケーブルに飲料などの異物・異液が付着した状態で接続され、充電をすることでショートして発熱するという事象となります。通信キャリア4社(株式会社NTTドコモ、ソフトバンクモバイル株式会社、楽天モバイル株式会社、KDDI株式会社)で行った合同試験の結果を元に、ご説明します。

 

(通信キャリア各社のHPにて同実験の結果を見ることが出来ます。リンクは本記事の末尾を参照ください。)

●実験内容

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  • スマホの充電端子に醤油を付着させる。
  • スマホの充電端子に、充電ケーブルを接続する。
  • 充電器をコンセントに挿し、充電を開始、スマホの充電端子近辺の温度変化を観察する。
  • 今回は安全性確認の上、専門家立ち会いのもと実験しました。危険ですので、真似をされないようお願いいたします。

●実験結果

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発熱の様子(早送り)

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発熱推移グラフ

―――最高で107℃!すごい温度ですね!

桑田:今回の実験では最大107℃でしたが、ちょっとした条件の違いで発熱する温度は変わります。

事前に何度か試してみたのですが、同じ実験方法にも関わらず発熱が60℃で止まる場合や、160℃まで上がる場合がありました。

160℃まで上がる場合には、70℃ぐらいで一瞬、煙が出て、150℃ぐらいで充電ケーブルのコネクタの一部が溶けました。

また、すぐに最大温度まで上昇するのではなく、一旦落ち着いたように見えても急上昇するので注意が必要です。

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充電端子のショートによる発熱で、充電ケーブルの樹脂素材が溶けた例

―――なぜ発熱するのでしょう?なぜ上昇温度が都度違うのでしょうか?

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桑田:この写真は、先ほどの実験で使ったスマホの充電端子(USB Type-C)を分解したものです。こびりついているのは醤油が変質したもので、電流が流れる赤い矢印のピンと黒い矢印のピンをつなげてしまうことでショートが発生します。横幅1cmに満たない、スマホと充電ケーブルの充電端子どうしの極小空間に入り込んだ醤油が時間をかけて化学反応を起こし、電流が流れる異物としてピンをつなげショートを起こす原因となります。異物の太さや成分によって抵抗値が変わり、上昇する温度も変わります。

―――醤油以外の液体でもショートする?

桑田:今回は醤油を使用しましたが、醤油以外でも発生の可能性があります。

―――付着したらどうすれば?

桑田:液体が充電端子に付着してしまった場合は、各機種の取扱説明書を参照し、洗ったり、水抜きをしてたのち、十分に乾かしてください。

  • 防水機種のみ。洗う水が内部に侵入しないようキャップ類は必ず閉めてください。
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例:KYG01(TORQUE 5G)の洗い方

―――ショートしてしまった場合の対応方法を教えてください。

桑田:スマホやケーブルの端子近辺は熱くなっていますので絶対に触らないでください。先ほどのグラフを見て分かるように、急に温度が上昇する場合があるため、注意が必要です。

充電器本体を、コンセントから抜くことが大事です。電気が供給されなくなれば、温度は徐々に下がっていきます。

電池の発火について

―――その他の「発火、発煙、発熱」の例を教えてください。

桑田:その他の事例としては、スマホのリチウムイオン電池が発火・発煙があります。以前に実験を元にした記事を書きましたのでこちらを参照いただきたいのですが、高所からの落下や踏みつけなど、無理な加圧によりリチウムイオン電池内部が変形しショート・発火に至る場合があります。

電子レンジでスマホを乾かすのは大丈夫?

桑田:スマホを電子レンジなどで発生するマイクロ波を浴びたと思われる「壊れたスマホ」のご申告を受けることもあります。万が一、水没でスマホの調子が悪くなっても、乾かすためにスマホを電子レンジで乾かすのはダメです。こちらも実験で試してみましょう。

●実験内容

  • 内蔵リチウムイオン電池を抜いたスマホを電子レンジに入れる。
  • 数秒「チン」する。
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  • 今回は安全性確認の上、専門家立ち会いのもと実験しました。危険ですので、真似をされないようお願いいたします。

―――スマホから火花が出ました!あ、くさい!ほんの数秒しか加熱してないのに、凄いにおい!でもスマホの外観はなんともないように見えます。

桑田:分解してみますね。黄色い丸の部分が焦げています。この部分の金属が電子レンジの強いマイクロ波に反応しました。赤い丸の部分の樹脂も焦げていますが、黄色い丸の部分の発熱の影響です。この強烈な臭いは樹脂が焦げた臭いです。

桑田:このスマホに、リチウムイオン電池を入れて電源キーを押してみましたが、電源は入りません。

桑田:電子レンジは、マイクロ波という仕組みで食品を加熱するものです。スマホが強いマイクロ波を浴びた場合、独特の壊れが発生します。ほんのちょっとだけの時間でも、絶対にやってはいけません。

―――スマホも壊れますけど、焦げた臭いで部屋の中が大変なことになりますね!

桑田:電子レンジ以外でも、工場など特殊な環境下においては、産業用機器などで強いマイクロ波を発する物がないか、気を付けてください。

スマホの分解は危険

―――ほかは、いかがですか?

桑田:スマホの分解は、是非とも止めていただきたいです。一番の懸念は内蔵リチウムイオン電池が傷つき発生する発火です。スマホの電池はどんどん大きくなり、基板などの部品は小型化される傾向にありますので、スマホ内部に占めるリチウムイオン電池の割合はどんどん大きくなっています。スマホの筐体の隙間にマイナスドライバーなどを差しこみ、こじる行為などで電池を傷つける可能性があります。また、一般の方がスマホを分解した場合、メーカーの修理を受けられなくなる可能性があり、別の観点では分解を行った後に電源ONにすると、法律違反(電波法違反)になります。

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―――本日はありがとうございました。

KDDI・ドコモ・ソフトバンク・楽天モバイルでは、MCPCの活動として、スマホを安全にご利用いただくための情報を発信しています。

文、イラスト:KDDI プロダクト品質管理部

動画、写真:KDDI プロダクト品質管理部