フランスを中心とした海外アーティストのエージェント兼出版社で働く田島香子さんは、まさにフランス通。フランスを知り尽くした旅上手の田島さんに、パリでのお気に入りの過ごし方、マストな持ち物を教えてもらいました。
田島さん流、
理想の5泊7日の過ごし方
パリの魅力は、多種多様な人々がいるところ、カフェに座って、通りを行き交う人々を見ているだけでも飽きずに過ごすことができます。 多くのカフェでは、コーヒー1杯だけでずっといても、放っておいてくれるので、のんびり過ごせるものいいですね。 私はいま、フランスを中心に、海外アーティストたちの日本での活動をサポートするエージェント兼出版社で仕事をしています。そのた め、パリには本の取材で行くことが多いです。たいていフォトグラファーと現地のコーディネーターと3人で1週間、丸一日取材をして過ご しますが、もし時間ができたら、こんな過ごし方をしたいなというオススメをご紹介します。
- オススメ滞在エリアは
おしゃれで刺激満載のマレ地区 - パリではよくマレ地区に滞在します。古いエリアで趣のある建物も魅力的。週末に営業しているお店も多く、クリエーターによるショップや感じのいいカフェなどが点在するおしゃれなエリアです。
老舗パン屋さんの朝食で
パリジェンヌ気分
まずは、北マレにある、老舗パン屋さん「ポワラーヌ」と併設のカフェ「ラ・キュイジーヌ・ド・バー」で朝ごはん「プチデジュネ・セット」を。クロワッサンとヴィエノワズリー、ポワラーヌのスペシャリテ「ミッシュ」という田舎風パンに、おいしいバターやジャム、コーヒーがセットになっています。身も心も満たしたら、パリのモチーフのピンズやブローチをつけて午後は取材先へ。これをつけていると、取材先の方たちが笑顔になります。
オススメアイテム:ピンズ&ブローチ
蚤の市の掘り出し物は
午前中の早い時間を狙って!
朝早くメトロに乗って、ヴァンヴの蚤の市へ。古いものを大切に使うパリの暮らしは、素敵です。そんなパリジェンヌ気分を楽しめるのが、蚤の市での掘り出し物探し。土日の朝早くからオープンして、昼頃には店じまいしてしまうスタンドもあるので、早い時間帯に行くことをオススメします。朝早くから歩き回ったら、午後は街のお総菜屋さんやスーパーなどで、ちょっとお惣菜を買って、ホテルのお部屋でちょっとのんびり。パンや、チーズ、バター、ワインなど揃えれば、ぜいたくな食卓に。
オススメアイテム:お箸やカトラリー
ランチは16世紀の邸宅に
あるカフェで
この日は取材が詰まっているので、ホテル近くでランチを。16世紀に建てられた邸宅マルル館は、今はスウェーデン文化センターとして使用されています。「カフェ・スウェドワ」というカフェがあり、北欧風のサンドイッチやケーキがおいしい!古いものと新しいものが溶け合うのも、パリらしいところ。
オススメアイテム:ウェットティッシュ&ティッシュペーパー
パリで一番大きな蚤の市は
まるで遊園地!
取材と買い物を兼ねて、パリで一番大きな蚤の市があるクリニャンクールへ。14のマルシェに分かれていて、迷路のように通りが入り組んでいます。好みのものがありそうな場所の空気を感じて、あちこちのぞいてみるのがここでの楽しみ方。本格的なアンティーク店から、雑貨やヴィンテージファッション、古本の専門店まで、さまざまなお店があります。疲れたら、マルシェの中にあるビストロやカフェで休憩を。
オススメアイテム:サングラス
旅の締めくくりは、
エッフェル塔の姿を眺める
最終日の夜はパリの象徴、エッフェル塔が美しく見える場所へ。エッフェル塔を見ると「いまパリにいるんだな」と実感します。トロカデロ広場からの眺めもいいのですが、混雑するので、日が明るい間にチュイルリー公園を散策したり、ルーヴルなどの美術館を巡ったあとに、ジュ・ド・ポーム美術館前の小高いテラスから、コンコルド広場の先に眺めるエッフェル塔の姿も美しいですよ。夕焼けの時間からとっぷり日が暮れてイルミネーションが灯るまで、時を忘れるようなドラマチックな様は圧巻!
オススメアイテム:スカーフやストールなどの巻物
仕事だと帰りに資料が増えることも多いので、荷物はできるだけコンパクトにするよう心がけています。日常から離れる旅は、いろいろ心配になって、あれこれ持って行きたくなりますが、使い回しで最小限に。私が旅を重ねる中で見つけたマストなアイテムは、持って行くととっても便利ですよ。
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梱包材
(エアパッキン&ガムテープ)スーツケースの隙間にエアパッキンを入れておくと、陶器やガラスなど割れ物を持ち帰るときの梱包に使えます。ガムテープも日本ほど粘着力のある質のいいものがないので、持って行きましょう。
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お箸やカトラリー
気が張って疲れたときは、街のお総菜屋さんやスーパーなどで、お惣菜、パン、チーズ、バター、ワインなどを買ってきて、ホテルの部屋でパリの味を気兼ねなく。プラスチックのカトラリーはお店でもらえないことも多いので、日本から持って行くといいですよ。
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個装用のビニール袋
個装用のビニール袋は、マルシェで購入した野菜やフルーツ、チーズなどの食品を入れておくのに便利!キャラクターのイラスト入りのものは、パリの方におみやげとしても喜ばれます。
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洗濯ネット・洗濯洗剤
荷物は最小限にしたいので、パリで洗濯をすることも。お部屋で手洗いしたり、コインランドリーにも行くので、洗濯ネットがあると安心です。スーツケースの中で、仕分けするときに使うこともできます。パリの洗剤は香りが強めなので、いつも使っているものを詰め替えて持って行きます。
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室内履き
(ビーチサンダル)パリは室内履きのスリッパの用意がないホテルもあるので、持って行くといいですよ。個人的には、街歩きをして疲れた足を思い切り開放できる、ビーチサンダルがオススメです。
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ピンズ&ブローチ
パリモチーフのピンズやブローチをワンポイントのアクセサリーに。「私もあなたの街が好きなんだよ~」とパリで出会った方に伝えることができるので、行くたびに少しずつ買って増やしています。
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ウェットティッシュ&
ティッシュペーパーパン屋さんでパンやサンドイッチを買ったり、サンルイ島でジェラートを買ったり、マレでファラフェルサンドを買ったり、パリは食べ歩きも楽しい街。手でいただくカジュアルな食べ物も多いので、ウェットティッシュがあると便利です。
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サングラス
気恥ずかしいと思っていたサングラスも、パリに行くようになってからはかけるのが当たり前になりました。空気が乾燥しているのと、オスマン建築のアパルトマンや石畳の通りの照り返しで光がまぶしいので、目を疲れさせ過ぎないために。
長時間のフライト時にオススメの機内持ち込みアイテム
長時間エコノミー席に座るので、できるだけ荷物を少なくすることが、快適に過ごすコツ。コットンのトートには、パソコンや貴重品、乾燥対策のマスク、目薬、保湿クリーム、スプレー式の詰め替えボトルに普通の水を入れて簡易ミストとして持ち込みます。あとは、文庫本1冊に、歯磨きセットを。
楽しい旅行にもトラブルはつきもの、
これからフランスに行く方にアドバイスお願いします。
日本を出たら、身のまわりのものには、気をつけ過ぎるぐらいがちょうどいいと思います。街歩きには、履き慣れた靴、口がしっかりとしめられるバッグを斜め掛けにしたほうが動きやすく安心です。
最近はメトロの中でも、日本語でスリのアナウンスが流れていますが、実は私も一度だけスリに遭遇したことがあります。それは、トロカデロ広場で、エッフェル塔の写真を携帯電話で撮っていたときのこと。エッフェル塔を見上げていたので、低い位置からやってきたジプシー風の女の子に、全く気がついておらず、ぱっと立ち上がって、携帯を奪われてしまいました。あまりの早業に、びっくりして「わっ!」と声が出たんです。そうしたら「デゾレ!マダム(ごめんなさい!マダム)」と携帯を投げ返してくれました。腕試しだったのか、返してくれてよかったですが、ひやっとしました。
旅は、風景、人、文化との出会いです。素敵だなと思うこと、驚かされること、たまにムッとすることもあるかもしれませんが、新しい体験を楽しめるのが旅の醍醐味だと思います。
田島 香子(タシマコウコ)さん
大分市出身。編集者として出版社に勤めたあと、海外のアーティストたちの日本での活動をサポートするエージェントであり出版社の「ジュウ・ドゥ・ポゥム」に入社。フランスをはじめ、ロンドン、フィンランド、スウェーデン、デンマーク、東京などを拠点に活躍するアーティストたちの作品や暮らしぶりを伝える書籍を手がける。編集者として、またアート・エージェントとして、たくさんの人が笑顔になれるような「もの」を生み出していきたいと考えています。近刊に『パリに行きたくなる50の理由』『パリ・ロンドン・北欧の手づくりガーデニング』など。街を歩くこと、食べることが好き。心のぜいたくは歌舞伎鑑賞。