リチウムイオンバッテリーを一般ゴミとしてはダメ!
スマホの環境にやさしい処分方法をプロが解説
使わなくなったスマホ、皆さんどうしていますか?ゴミに混ぜて捨てていませんか?
KDDIでスマホの品質を管理する担当者に話を聞いた。
(株)KDDIチャレンジドのオフィスにて、分解済のガラケーパーツと
KDDIプロダクト品質管理部 桑田 卓哉、サステナビリティ企画部 上岡 悠太
【目次】
使わなくなったスマホの処分のしかた
―――東京消防庁によると、誤ったゴミの分別でゴミ収集車やゴミ処理関連施設から出火する火災が発生しているとのこと。
今日は、使わなくなったスマホの正しい処分のしかたについて教えてください。
出火したゴミ収集車の様子(注1)(東京消防庁HPより引用)
桑田:一般ゴミとしてリチウムイオンバッテリーが捨てられ、それがゴミ収集車内で押しつぶされて発火、という内容ですね。
スマホにもリチウムイオンバッテリーは搭載されているので、不要となったスマホについて適切に処分していただく必要があります。
―――リチウムイオンバッテリーの取り扱い方は、以前に桑田さんに教えていただきましたね。
スマホに大きな力が加わると発火する場合がある、との内容(注2)でした。
―――普段の取り扱いで注意する、というのは勉強しましたが…不要となったスマホを安全に処分するにはどうしたらいいのでしょうか。
桑田:今回、そちらの「プロ」をお呼びしましたのでお話を聞きましょう。KDDIサステナビリティ企画部の上岡さんです。
上岡:スマホを処分するにあたって一番おすすめする方法は、最寄りのau Style/auショップ、UQスポット、トヨタのau取扱店に持ち込んでいただくことです。KDDIでは、ブランド・メーカー・通信会社を問わず、不要になったスマホ・ガラケー・タブレットや、これらのバッテリーの無償回収を行っています。古い機種でも大丈夫ですよ。
―――ブランド・メーカー・通信会社を問わず、ですか。それは助かりますね!
ショップの予約は必要ですか?予約が必要だと、ちょっと敷居が高いかも…
上岡:回収だけなら予約は不要です。ショップに立ち寄っていただき、店員の方にご相談をしていただければと思います。
―――なるほど。じゃあ簡単ですね。
ショップにお任せいただいた場合の利点があれば教えてください。例えば、個人情報保護とかはいかがですか?
上岡:もちろん通信会社系のショップですので抜かりはありません!バッテリーが外せる機種は外し、本体に専用器材使って穴を空け、個人情報を読み取れないようにします。
スマホ、ガラケーの「個人情報」は、確実に消します!
―――徹底していますね!
桑田:バッテリーが外せない機種はどうなりますか?外さずに穴を空けると危ないですけど。
上岡:その場合はオールリセットをかけて、初期化されたことをお客さまにも目視確認いただきます。故障して電源が入らない端末の場合はショップではオールリセットできないですが、KDDIのセキュリティ基準にのっとって処分させていただきますのでご安心ください。
―――近くにau Style/auショップがない方はどうすればいいですか?
上岡:ドコモやソフトバンク、楽天モバイルのショップでも、auのショップ同様に回収を行っていますので、こちらにお願いするのも大丈夫です。
―――回収できない場合もあるのでしょうか。
上岡:「スマホ・ガラケー・タブレット」およびその専用バッテリーに限らせていただいています。この範囲であれば、古い機種でもOKです。PHSも大丈夫です。
モバイルバッテリーなどは回収の対象外です。ご面倒ですがお住まいの自治体にお問い合わせください。
また、auの公式アクセサリーである「au +1 collection」のモバイルバッテリーなどについては、すべてメーカー様でも回収受付いただけます。お手数ですがメーカー様にお問い合わせください。
桑田:回収したスマホなどは最終的にどうなりますか?再利用できるレアメタルなどが含まれていますが。
上岡:回収したスマホは分解し、リサイクルをさせていただいております。分解作業の一部は、(株)KDDIチャレンジドにて障がいのある方々の手により実施され99.8%が新たな素材に生まれ変わっています。
―――ということは、リサイクルと障がい者雇用の両面からの…
上岡:サステナビリティとDE&I(注3)に向けた取り組みの一環とKDDIでは捉えています。
- D=ダイバーシティ(多様性)、E=エクイティ(公平性)、I=インクルージョン(受容)
(株)KDDIチャレンジドでの分解作業の様子
―――どれくらいの数を分解しているのでしょうか。
上岡:年間1万台くらいです。スマホ、ガラケーなどの販売台数から考えると非常に少ないので、もっとたくさん回収して再利用につなげたい、と考えています。
―――そういえば、KDDIでは「おもいでケータイ再起動」という、電源が入らなくなった古いケータイを持ち込んで、再起動を試みて内部の写真を印刷してもらえるイベントを各地で開催していますよね。
上岡:これまでにたくさんの方に喜んでいただいているイベントですが、ここでも回収を行っています。担当スタッフにお気軽にお声をおかけください。また、リサイクルを希望されない場合は、端末はお返ししていますので、再起動できた「おもいで」と、端末の「これから」を考えていただく機会をご提供できたらと考えています。
―――なるほど、よくわかりました。
なぜ、バッテリーが加圧されると危ないのか。
桑田:リチウムイオンバッテリーの処分方法が分かったところで、簡単に、「なぜリチウムイオンバッテリーが加圧されると危ない」のか、おさらいをしておきましょうか。これは私の専門なので私から。
―――お願いします。
リチウムイオンバッテリーの内部構造
外部加圧でショートするイメージ
桑田:内部で、シート状の正極(プラス)と負極(マイナス)が、薄いセパレーターをはさんでぐるぐる巻きになっています。このセパレーターが外部からの加圧で破れてしまうと、プラスとマイナスが接触=ショートしてしまう、という理屈です。
―――なるほど、そうでしたね、思い出しました。
でも、簡単には発火しないですよね?前回のプロダクト品質管理部での実験でも、加圧はしたけどダミーバッテリーを使った実験で、「これだけスマホが凹みます」とかだったんですけど…
桑田:発火したスマホなどのご申告をいただき、調査する場合がございます。調査すると、通常のご利用では発生しないような凹みが発生していて、そこを起点にバッテリーが発火しています。
例えば…
実際に内蔵リチウムイオンバッテリーが発火したスマホの例
―――うわ…
桑田:黄色い丸の部分に、何か尖ったものが刺さったような穴がありました。
ゴミ収集車の内部では大きな力でゴミを押しつぶしているようですので、これと同じようなことが発生しているのではないかと思います。
スマホの取扱説明書にも、以下のように記載されています。
上岡:繰り返しになりますが、使わなくなったスマホやガラケーをほかのゴミと一緒に捨てるのは絶対にダメですよ!au Style/auショップなどに持ち込んでくださいね。
―――本日はありがとうございました。
KDDI・ドコモ・ソフトバンク・楽天モバイルでは、MCPCの活動として、スマホを安全にご利用いただくための情報を発信しています。
KDDIのサステナビリティに関する取り組みは以下をご確認ください。
文:KDDI プロダクト品質管理部、サステナビリティ企画部
動画、写真:KDDI プロダクト品質管理部、サステナビリティ企画部
イラスト:KDDI プロダクト品質管理部