2023/9/27

サーキットクイーン 辻門アネラさんインタビュー

日本でもっとも人気があるレースシリーズである「SUPER GT」のGT500クラスで、au(KDDI)がスポンサードしている「36号車 au TOM'S GR Supra」のサーキットクイーンをしているのが、央川かこさん、辻門アネラさんのお2人。

 辻門アネラさんは今シーズンからau TOM'Sのサーキットクイーンになり、多くのファンから声援を寄せられるだけでなく、スタート時にはチームを紹介するパネルを持ってチームの顔としてテレビ放送やメディアにも露出する存在だ。その辻門アネラさん、実はもう1つの顔を持っているらしい……。その驚きの顔とは?

歯科衛生士からサーキットクイーンに華麗な転身を果たした辻門アネラさん

──SUPER GTはどのようなシリーズでしょうか?

辻門さん:ぜひお勧めしたいのは、サーキットに1度来ていただくことですね。そうすると、テレビでは分からなかったことを体験していただけると思います。音や匂い、コース上の追い越しとか、現場で見るとその迫力は全然違って、非日常的なことばかりです。また、サーキットでの楽しみは、グルメですね。SUPER GTでは、レース期間中に地元のおいしい料理が屋台で出ていて、それを巡るだけでも楽しめると思います。さらに、ピットウォークと呼ばれるイベントが土日それぞれに行なわれるのですが、そこで私たちサーキットクイーンに会えたりするので強くお勧めです(笑)。

──ピットウォークのときに、外で2人が涼しげに立たれていて、日傘があるとはいえ、炎天下でそれは本当にすごいなと思いました。

辻門さん:そう言っていただけるとうれしいのですが、めちゃくちゃ正直に言えば、やっぱり暑いです(笑)。特に衣装は生地的に汗を吸い取りにくく弾くだけなので、その中がどうなっているのかは簡単にご想像いただけるのではないかと思います(笑)。

──同じ人間だと分かって安心しました(笑)。辻門さんはどういう経緯でサーキットクイーンになられたのでしょうか?

辻門さん:サーキットクイーンというお仕事を始めて今年で5年目になります。実は、以前歯科衛生士をしていて、歯医者さんで働いていました。歯医者さんで4年ぐらい働いていて、そろそろ新しいチャレンジがしたいと強く思っていた時期に、知り合いのレース関係者の方にサーキットクイーンになるのはどうかと声をかけていただきました。その時に、「あ、それならやってみようかな」みたいな割と軽いノリで、1か月後には仕事を辞めて、2か月後にはサーキットクイーンになっていました(笑)。

──その働いていた歯医者さんの関係者の方はさぞ驚いたのではないですか?

辻門さん:みなさんの最初の反応は「ええっー!なんて突拍子のないことを!」みたいな感じでしたが、みなさんとてもいい方で、「いつでも連絡してきてねー」とか「いつも見てるよ!」とか言っていただいたり、院長さんがSNSで私のことをフォローしてくださったり、応援していただけるので本当にありがたいなと感じています。今でも病院に遊びに行ったり、同僚に会いに行ったりしています。

──歯科衛生士から大変身してサーキットクイーンになられた辻門さんですが、サーキットクイーンになってよかったこと、これは魅力的だよなんてことがあれば教えてください。

辻門さん:元々自動車が好きだったので、将来この自動車に乗りたいなぁというのはあったのですが、サーキットに来てレースをするマシンを見たら全然違うのでびっくりしました。サーキットクイーンになってよかったと思うのは、レースに一緒に参加して喜びや達成感を分かち合えるところです。レースってのめり込めばのめり込むほど魅力的だなと思っています。

サーキットクイーンとして印象に残っているレースはチームが優勝した今年の第2戦富士

──サーキットクイーンとして印象的だったレースはありますか?

辻門さん:これまで5年間このお仕事をしてきましたが、その中でも印象的だったのは、今のチームに参加させていただいて初めて表彰台で優勝を祝うことができた、今年の第2戦富士のレースですね。実はサーキットクイーンとして所属したチームが優勝したのはこれが初めてで、1度もそういう経験がないままキャリアが終わるサーキットクイーンの方もいらっしゃる中で、チームが優勝できたというのが私にとっては印象的でした。優勝したチームメイトを表彰台の下からお祝いすることができたのは本当にうれしかったです。

──サーキットクイーンとしてはそうした喜びもあると思いますが、大変なこともあると思います。大変だったなと思ったことはありますか?

辻門さん:サーキットクイーンとして1番大変なのは、やはり体型維持ですね。立ち方や姿勢をきれいに見せるためにいろいろ努力をしているのですが、やはり1番効いてくるのは体型維持なので。(そのためにどんな努力をしているのかを聞かれて)1番はやっぱりダイエットですね。私がしているのは、レース期間中みたいに体力勝負のときはご飯をしっかり食べるけど、逆にレースがない曜日は少なめにしてサラダを中心に食べるとかしてバランスを取っています。やはりレース中は体力を使うし、ずっと立ちっぱなしで、移動距離も長いので、その間にしっかり体調管理をすることを優先しています。そのようにメリハリをつけることが大事かなと感じています。

 もう1つは早起きです(笑)。レースクイーンの朝はとても早くて、例えば今朝は3時半起きです。そこから準備してサーキットに向かって9時前にはサーキット入りをしています。その後も着替えや撮影などのスケジュールが1日びっしり入っていますので、あっという間に1日が終わってしまいます。グランドスタンド裏のステージに参加して、ピットウォークに参加して……。レース日だとグリッドウォークと呼ばれる時間にチームのカーナンバーのプラカードを持つことや、レースによってはSUPER GTの巨大フラッグを持って行進することもあります。このレース(第4戦 富士)では、レース中にau応援席に行って、ファンのみなさんと交流する時間もあるので、本当忙しくてあっという間に1日が終わってしまいますね(笑)。その後、19時ごろにはサーキットを離れて翌日の準備のために食事に行って早く寝るという流れで1日が終わります。

──先ほど衣装も暑さの中では大変とおっしゃっていましたが、ずっと着ているのも大変ですよね……。

辻門さん:そうですね、やはり暑さは大敵です。ただ、衣装よりも大変なのはこのヒールで、実はこれ(衣装のブーツ)13cmのヒールなんです。一般的に女性用ヒールなら高くても7cmぐらいなので、13cmってものすごく高いという表現になると思います。それを履いて動き回らないといけないので、その意味でも体力勝負です(笑)。

──あのコスチュームはサーキットで着替えるのですか?それともホテルとかで着るのですか?

辻門さん:それはチームによって違うみたいです。サーキットで着替える場合や、最初からホテルで着る場合などさまざまです。ただ、この衣装を着ていて感じるのは「気持ちが引き締まる」ということですね。やっぱり私服だとオフモードになってしまうのですが、こうしてスポンサーさんのイメージであるロゴがついている服を着ているので、それを崩さないように常に気を使っています。

──auに対してはどういうイメージをお持ちでしょうか?

辻門さん:私がレースクイーンになったばかりのころ、1番憧れていたのがこのauがスポンサードされているTOM'Sチームでした。「将来、絶対にこのチームに入るんだ」とずっと言っていて、遂に今年からチームに入れたので、うれしい限りです。ロゴやカラーリングなどがかわいいというよりは格好いいという感じです。私の中ではサーキットクイーンというのは格好よくあるべきというイメージがあって、それに1番マッチするのがauのサーキットクイーンで、憧れの存在だったので、今はそれになれてとてもうれしいです。

レースクイーンと同時に、菓子屋/パン屋の店長という別の顔を持っている辻門アネラさん

──サーキットではとてもお忙しいと思いますが、オフの日はどんなことをされているのですか?

辻門さん:私、基本的にお休みはないんです(笑)。

──え!? それはどういうことなのでしょうか?

辻門さん:地元が岡山県倉敷市なんですが、地元では台湾カステラ専門店とクリームクロワッサン専門店の2つの店長としてお店の運営を担当しています。そのためレースに行かない平日はいつもお店にいます。

──なんというお店ですか?

辻門さん:台湾カステラ専門店が「KIMITOWHIP premium 倉敷店」で、クリームクロワッサン専門店が「croshu(クロッシュ)」になります。

KIMITOWHIP premium 倉敷店のInstagramはこちら

クリームクロワッサン専門店 croshuのInstagramはこちら

 お店が忙しいので、あまりお休みを取ることはないです。ただ、たまには気分転換で、1~2か月に1度、1週間ぐらいレースがない期間を狙って旅行に行くぐらいです。

──旅行はどこに行ったりするのですか?

辻門さん:先月は宮古島に行きました、宮古島が大好きで何度も行っています。スキューバダイビングほど本格的なものではないですが、潜ったりして楽しんでいます。

おもしろいと思うことは相方である央川かこさんのとある秘密。目標はauサーキットクイーンとして最強と言われたい

──「au」のブランドメッセージ「おもしろいほうの未来へ。」にちなんで、最近「おもしろい」と思うことは何ですか?

辻門さん:相方の央川かこさんがとても運動音痴なことです(笑)。とても足が長いのですが、走るのがとても遅くて一緒に走っていると全然ついてこられないんですよ(笑)。例えばチームが優勝すると、ドライバーさんが表彰台に走って行くシーンがあるので、そのとき私たちも走って追いかけるのですが、かこさんとドライバーさんの距離がどんどん離れてしまうんです(笑)。あまりに遅いので、最後の方はかこさん、諦めていたりします(笑)。ぜひ次回チームが表彰台に上がったときはそこに注目して見てください。

──今後サーキットクイーンになりたいという若い女の子たちにメッセージがあれば。

辻門さん:とにかく自分の体調管理が一番大事ですね。結構体力勝負なところがあるので、自分の体のことをきちんと管理して体調を管理しておくことが大事です。あとは暑さに耐えられるようにすることですかね(笑)。

──最後に今後どのようなサーキットクイーンになっていきたいですか?

辻門さん:私はすでにサーキットクイーンとして5年目なのですが、将来というよりは今をとても大事にしています。将来「あの時代のauのサーキットクイーンは最高だったよね」と語り継がれるようなサーキットクイーンでありたいなと思っているので、みんなの印象に残るようなサーキットクイーンになれればと思っています。また、チームもポイントランキングで上位につけているので、最終戦でチャンピオンを取って終えられるように応援頑張ります。