2022 SUPER GT REPORT 第5戦 鈴鹿サーキット

2022 SUPER GT REPORT
第5戦 鈴鹿サーキット < 予選 >

2022年8月27日(土) 来場者:9,000名  
天候:曇り時々晴れ

2022年SUPER GTの後半戦はここ、鈴鹿からスタートした。今年2回目の開催となる鈴鹿サーキット。前回は300Kmレースだったが、今回は450Kmレースとなる。TGR TEAM au TOM'S 36号車は、練習走行からトラブルに見舞われてしまった。ブレーキングの際のセンサーに異常が発生。このセンサーはエンジンの制御を司る、メインのマネジメントシステムにも連動していて、エンジンにも影響するものであったので、練習走行中に予定していたプログラムを消化できないまま、予選を迎えざるを得なかった。予選Q1で初めてトライするセッティングの変更もあり、ぶっつけ本番、パフォーマンスを十分に発揮できないまま、Q1を突破することができず、予選を終えなくてはならなかった。結果は12番手。6列目のグリットから77周の決勝をスタートすることとなった。

  • ・第4戦まで、36号車は毎戦ポイントを獲得しており、ポイント21.5点。サクセスウエイトは43Kg。
  • ・練習走行の開始早々に、ブレーキのセンサーに異常が確認された。
  • ・サクセスウエイトが堆積する中、第3戦の時とでは天候や気温、路面温度が異なるため、今回の第5戦に向けて確認すべきブログラムを用意してきたが、アクシデントの対処に時間を要し、プログラムの消化が大幅に遅れてしまった。
  • ・練習走行で重要なタイヤ選択の作業も順調に進められないまま、予選を迎えざるを得えなかった。練習走行でのタイムは、GT500クラス出走15台中15位という悔しい結果だった。
  • ・坪井 翔がQ1を担当。
  • ・Q1突破には1分45秒台のタイムが不可欠だったが、坪井はコンマ1秒至らず、Q2に進出することができなかった。
  • ・ジュリアーノ・アレジの予選走行のチャンスは無かった。
Driver Car No. Qualifying 1 Qualifying 2
坪井 翔 36 P12
  1. 1’46.103
  2. -
-
  1. -
  2. -
ジュリアーノ・
アレジ
天候 気温 / 路面温度
曇り時々晴れ 31℃〜31℃ / 29℃〜40℃

坪井 翔 36号車ドライバー

「予選までの限られた時間の中で、トラブルによってセットアップに使う時間、タイヤ選択の時間が奪われてしまったのは痛かったですね。タイヤ選択を優先して、なんとか選択はしましたが、セットアップは何もできないまま予選を迎えなくてはなりませんでした。これまでのデータからセットアップしたのですが、それが悪い方向に行ってしまっていたのも事実です。今回Supra勢があまり良くないですよね。その中でもボクらは本当に苦戦しています。昨年も大変でしたが、今年の第3戦と比較しても気温、路面温度が似通っているのにフィーリングが違うことに戸惑っています。思い切って他と違う作戦もアリだと思っています。」

ジュリアーノ・アレジ36号車ドライバー

「セッティングが決まらず、確認する時間もなくて、坪井先生が頑張ってもQ1を通過することができなくて大変な状況だった。トラブルはメカニカルなことだからしょうがない。常に短時間の中でいろいろなことを処理しなくてはならないので本当に大変だ。決勝に向けてのセットアップは、データ上だけでエンジニアさんや監督と長いミーティングをして決めた。それが明日どうなるか。あとは戦略だね。450Kmだからゲーム性が高くなるし、SUPER GTは最後の最後までわからないことが多いからね。ポジションを上げて、ポイント圏内でフィニッシュするためには、フレキシブルな作戦が良い結果を生み出すと思う。」

吉武 聡 36号車エンジニア

「朝一番からブレーキのセンサーが壊れて、それがエンジンのマネジメントシステムにも影響するもので、エンジンが吹けなくなってしまいました。それを対処しつつ、セッティングを進めるというドタバタで、予選を迎えざるを得ませんでした。毎セッションセッティングを変更しつつ、予選に向けてスプリングとウイングに手を加えてアタックしてもらいました。予選のセッティングを確認する時間もなく、セッティングは決まっていませんでしたね。ソフト系のタイヤでアタックをしたのに、上位に食い込めなかったのは、痛いなという思いです。」

伊藤 大輔 36号車監督

「練習走行で貴重な時間をロスしてしまった。セッティングの合わせ込み、タイヤチョイスに大きく影響し、それが予選結果に表れています。ソフト系のタイヤでアタックしたのは、少しでも前にということより、前回第3戦の時と同じ硬めのタイヤだとフィーリングがよくないと思ったから。決勝日に気温が上がったとしても、ブリヂストンさんのタイヤであれば、大きなネガティブ要素はないと思います。Q1は突破できると思っていたので、このトラブルはドライバーに申し訳なかった。極端に変則的な作戦をとることはできないですが、いろいろと考えています。終盤戦でチャンピオン争いができるよう確実にポイントを獲得するのが目標です。」

2022 SUPER GT REPORT
第5戦 鈴鹿サーキット < 決勝 >

2022年8月28日(日)  来場者 : 16,500名  
天候 : 曇り後晴れ

土曜日、予選前の練習走行でトラブルが発生し、予定していたセッティング作業が思うように進まず、予選においてもデータ上で確認したセッティングで臨まざるを得なかった36号車は、12番手から決勝をスタートすることとなった。より良いセッティングを追求するために、エンジニアとドライバーは予選後、長時間のミーティングを行った。決勝前までに確認できるのは、20分間のウォームアップ走行のみ。そこでチョイスしているソフト系のタイヤとのマッチングが良いことが確認でき、ロングラップのペースも良好であることがわかった。そして、作戦面でもこれまでの450Kmレースとは異なる選択をして、決勝のスタートを迎えた。1周目、スタート直後から二つ順位を上げることに成功し、ポイントゲット圏内へ。後続グループの接戦と、GT300クラスの対応をする中で、順位を上げることは容易ではなかったが、最後まで諦めない手堅い走行の末に9位でフィニッシュし、2ポイントを獲得した。

  • ・ 坪井がスタートドライバーを担当した。450Kmレースで坪井がスタートを担当するのは初。
  • ・ アレジがセカンドスティントを担当。坪井が17周して最初のピットインを行い、その後アレジが26周を走行。
  • ・ オープニングラップで得た10位のポジションを堅持しながらアレジは周回を重ねた。
  • ・ 2度目のピットインを終えて15位でレースに復帰。坪井がその後どれだけ順位を上げられるかに期待がかかった。
  • ・ レースが3分の2を経過したところでGT300クラスのクラッシュがあり、セーフティーカー(SC)が導入され、ポジションが悪く周回遅れになってしまった。その後10位まで順位を挽回できた。
  • ・ 10位をキープしつつゴールを目指して最終ラップに入ったところで上位車の一台がコースオフ、クラッシュ。これによって9位フィニッシュ、2ポイントを獲得している。
Driver Car No. Race Result / Fastest Lap
坪井 翔 36 P9
  1. 1’50.771
  2. 1’52.590
ジュリアーノ・
アレジ
天候 / 路面 気温 / 路面温度
曇り後晴れ / ドライ 30℃〜29℃ / 40℃〜36℃

坪井 翔 36号車ドライバー

「ソフトタイヤでのスタートなら、1周目が勝負だと思っていました。順位アップできて良かったです。欲を言えばもっと順位アップしたかったですが、2ポジション上げられたので良かったです。セットアップは良かったですが、序盤に39号車に上手く抑えられしまって、そこから順位アップできませんでした。ウエイトも重いのでパスできる状況ではないと判断し、早めのピットインを選択しました。このセットアップとペースなら第3スティントではかなり上まで行けるかなとイメージできました。周りと違う作戦が、SCが入ったタイミングで裏目に出てしまい、ラップダウンまで落ち込みましたが、そこから9位まで上がれて良かったです。この2点は貴重なポイントです。」

ジュリアーノ・アレジ 36号車ドライバー

「セカンドスティントを担当してコースインした。他のチームと異なる早めのピットストップからコースインすると、トラフィックの真っ只中で、自分のペースをキープして走行することができずすごく苦労した。サクセスウエイトが重いので、GT300クラスのマシンをパスするのにも苦労した。ポイント獲得圏内でポジションをキープすることに集中して走った。ブレーキトラブルの練習走行から始まって、十分なセットアップもできずに決勝を迎えたけど、マシンは問題なかった。トラフィックの対応がもっと上手くできたら、もっと良いパフォーマンスを引き出すことができたと思うけど、なんとかポイントゲットしてレースを終えられた。次戦はもっと上位フィニッシュを目指す。」

吉武 聡 36号車エンジニア

「最後に良いセットアップで戦えました。前回の鈴鹿、昨年の鈴鹿のデータを総合して、この路面温度ならこのセットで行こうと考えました。ソフトタイヤでスタート直後から順位を上げることができましたし、ペースは良かった。セカンドスティントではジュリアーノが思うように走れませんでしたね。前が開けばペースは良かったので、経験を積めばGT300クラスとのバトルも容易になるでしょう。一旦周回遅れにまでなってしまったのですが、それを坪井がハイペースで挽回してくれて、幸運にも9位まで上がれました。予選はアンラッキー、決勝の最後は少しラッキーでしたかね。次戦も厳しいですが、頑張りますとしか言えませんね。」

伊藤 大輔 36号車監督

「練習走行で発生したブレーキトラブルが最後まで尾を引いてしまいましたね。今回スタートを坪井に任せましたが、マシンのセッティングは良くて、ソフトタイヤとのマッチングも良く、ペースはかなり良かった。それが故にすぐに同じSupraの39号車に追いついて、抑えられる展開となってしまいました。予選順位がよければ、序盤でもっとポジションを上げられていたでしょう。アンダーカット作戦を取ってみたのですが、トラフィックに悩まされ、一時はラップダウンまで順位を下げてしまった。そこから追い上げてポイントまで獲得できたのはラッキーであった面もあります。連続ポイント獲得もできた。これからも厳しい戦いが続きます。」

舘 信秀 総監督

「走り出しからトラブルに悩まされて、苦しい展開は覚悟していた。これまで毎戦ポイントを獲得してきているが、サクセスウエイトも43Kgあって、37号車のように燃料リストリクターは装着されていなくとも、元々かなり厳しいのは分かっていた。僅差の戦いが続く中で、一つでもネガティブな要素があると結果に大きく影響する。しかし、ドライバーとチームが一丸となってグリッドの後方から追い上げてポイントゲット圏内に上り詰めて、最終的には9位、2ポイントをゲットした。この2ポイントは貴重な得点だ。ご苦労様だった。」