2022 SUPER GT REPORT 第7戦 オートポリス

2022 SUPER GT REPORT
第7戦 オートポリス < 予選 >

2022年10月1日(土) 来場者:6,000名  
天候:晴れ

2022年のシリーズも残すところ2戦となった。開幕戦からこれまで全戦でポイントを獲得している、TGR TEAM au TOM'Sの36号車は、ランキング9位で第7戦のオートポリスへ乗り込んできた。当然、今回もできる限り多くのポイントを獲得して、最終戦に繋げたい。今大会はジュリアーノ・アレジの父で、元F1ドライバーのジャン・アレジ氏も応援に駆けつけている。午前中の練習走行では、クラスの中段順位で推移。予選へ向けてセッティングを変更し、Q1に挑む。セッティングの変更は、コンディションの変化にもマッチして、Q1のトップタイムを叩き出してQ2へ進出を果たした。Q2では早めにタイムアタックを行い、セッション終盤のライバルたちのタイムアップの状況を待った結果、8番手となった。

  • ・ ジュリアーノ・アレジが、第6戦で規則違反(黄旗提示区間の追い越し)をしたため、ペナルティポイントが科せられ、練習走行時間帯のうち、後半の1時間は走行が許されなかった。
  • ・ アレジが練習走行の前半で、主に決勝レースのロングラップセッティングを担当。
  • ・ 坪井 翔がロングラップ、予選に向けたセッティングのチェックを行ったが、タイムは伸び悩んでいた。セッションの最後にセッティング変更の確認を行いたかったが、連続したアクシデントによってセッションが中断され、確認ができないまま予選を迎えなくてはならなかった。
  • ・ Q1を坪井が担当した。セッティング変更が功を奏し、アタックをかけるとトップタイムをマークした。
  • ・ Q2をアレジが担当。セッションの前半でコースインしてアタックをかけて、タイムを出し、ライバルたちのアタックを待った結果、8番手となった。
  • ・ 前戦第6戦におけるペナルティによって4グリッド降格となるため、決勝は12番手グリッドからのスタートとなる。
Driver Car No. Qualifying 1 Qualifying 2
坪井 翔 36 P1
  1. 1’32.097
  2. -
P8
  1. -
  2. 1’32.741
ジュリアーノ・
アレジ
天候 気温 / 路面温度
晴れ / ドライ 25℃〜24℃ / 40℃〜36℃

坪井 翔 36号車ドライバー

「練習走行の段階では調子が悪くて、この状況をどうしようかと悩んでいたほどでした。そこからセッティングを変更してもらって、練習走行の最後、GT500クラスの占有走行帯で確認する予定でしたが、赤旗で2回の中断。全く確認することができず、そのまま予選に臨まなくてはなりませんでしたが、セッティング変更の方向性が良かったようで、1コーナーに入った瞬間からフィーリングが良かったです。この調子であればタイムは出せるなと思っていましたが、まさかQ1のトップタイムが出せるとは思っていませんでした。チームのおかげで出せたトップタイムです。」

ジュリアーノ・アレジ36号車ドライバー

「Q2のセクター1はまずまず。セクター2は、坪井さんと同等のタイムを出せていたけど、セクター3で思うようなドライビングをすることができなかった。少しミスしてしまっているしね。そこでタイムアップをすることができずに悔しい。また、走り出しからコースコンディションがどんどん変化するのには驚かされた。それは自分だけのことではなくて、参加している皆が同じ条件。我々のマシンが持っているポテンシャルを出しきれていないのが残念。決勝は4グリッド後ろからのスタートなので、作戦面でどうするか。チームと話し合ってレースに臨む。」

吉武 聡 36号車エンジニア

「オートポリスへの持ち込みセッティングが良くなくて、練習走行中に修正を加えなくてはなりませんでした。ジュリアーノの走行時間に制限があったので、彼に練習走行の前半に走行してもらい、マシンとコースへの慣熟をしてもらいました。その後セッティング変更をして、坪井に確認をしてもらいたかったのですが、コースインした途端に赤旗が出され、10分間の占有走行中、2回中断になって、全く確認ができませんでした。予選はぶっつけ本番の状況でしたが、坪井が頑張ってくれて、Q1トップタイム。セットアップは正しかったです。」

伊藤 大輔 36号車監督

「オートポリスのコースは、走り込むとコースの路面状況が変化するので、それらをちゃんと把握してセッティングをしなければなりません。予選に向けてのセッティング変更は良く、それにプラスして、坪井は路面の変化に対して合わせ込むドライビングが上手いので、Q1でトップタイムをマークしてくれました。ジュリアーノは練習走行で1分35秒台で走っていて、予選ではコンディションの変化と共に32秒台で走行した。これは凄いことです。ドライバーにとって3秒速く走るということは異次元であり、見える景色が違う。良い経験、良い勉強になったのではないかと思います。」

2022 SUPER GT REPORT
第7戦 オートポリス < 決勝 >

2022年10月2日(日)  来場者 : 11,000名  
天候 : 晴れ

真夏を思わせる陽気の中で、TGR TEAM au TOM’Sの36号車の第7戦は、12番手グリッドから始まった。決勝レースの直前に行われたウォームアップ走行でコースオフしてしまい、フロントの下回りとリヤの空力ディフューザーが一部破損し、メカニックによる修復作業が行われた。ウォームアップ走行では、決勝に向けてセッティングの最終チェックを行う予定だったが、それを行うことができなかった。スターティンググリッドには着くことができたが、不安材料を抱えてのスタートとなった。迅速で懸命なメカニックの作業によってマシンの状況には問題がないことがわかったが、集団の後方では思うようにペースアップができず、ポジションを落としてしまった。第1スティントはミニマム周回数でピットイン。この作戦が功を奏してアンダーカットに成功。ポイント獲得圏内へ順位を上げることができ、8位フィニッシュを達成した。開幕戦から連続しているポイント獲得は今回も成し遂げることができた。

  • ・ ジュリアーノ・アレジがスタートドライバーを担当した。
  • ・ ウォームアップ走行でスピン、コースオフしてダメージを受けてしまったが、修復によってマシンのバランスなどに影響は出なかった。
  • ・ 1周目にひとつ、2周目にもうひとつ順位を下げてしまって14位となった。
  • ・ アレジのパートは、一人のドライバーの最低周回数をドライブする作戦だった。
  • ・ 23周してピットイン、坪井 翔へドライバー交替した。
  • ・ 坪井は、アンダーカット作戦を成功させることに集中し、第2スティントのコースイン直後からプッシュして周回を重ねた。
  • ・ 第1スティントでロングラン作戦のチームがピットインを終えると8位まで順位を上げていた。
  • ・ 上位マシンがトラブルでリタイヤして7位へ。しかし、スティントの序盤でプッシュしたことで、終盤にはタイヤがグリップダウンしてしまい、残り7周で8位に後退してフィニッシュした。
Driver Car No. Race Result / Fastest Lap
坪井 翔 36 P8
  1. 1’38.351
  2. 1’38.796
ジュリアーノ・
アレジ
天候 / 路面 気温 / 路面温度
晴れ / ドライ 26℃〜26℃ / 45℃〜38℃

坪井 翔 36号車ドライバー

「決勝前のウォームアップで確認したいことがあったのですが、コースオフしてしまい、それができなかった。マシンを直してもらって、変なフィーリングもなかったですね。マシンは最初から良くて、だからこそQ1でトップタイムを出せていますからね。ジュリアーノのペースが上がらないのは何かの支障があったのかなと思っていたのですが、自分に代わって、タイヤとのマッチングも良くて、どんどん順位を上げられました。スティントの前半で頑張りすぎたというか、順位を上げなくてはならなかったので、残り10周くらいでタイヤのグリップがダウンしてしまい、3号車に抜かれてしまったのはしょうがなかったですね。昨年は最終戦で勝っているので、今年も勝ちたいですね。」

ジュリアーノ・アレジ 36号車ドライバー

「スタートが良くなくて、ポジションを落として、さらには38号車にもパスされてしまった。タイヤにピックアップがあって、ペースを上げることができなかったのは残念。その中でもペースを保ち、できればポジションを上げなくてはならない。単独走行では良かったけど、競った状況でうまくドライブできなかった。ミスはなく、トラブルもなくドライバー交替することができて良かった。そして坪井さんが素晴らしいドライビングでポジションを上げてくれて、7位まで行ったことは本当に凄い。最終戦は自分がもっと頑張れば、もっと良い結果を残せると思うので頑張ります。」

吉武 聡 36号車エンジニア

「レース前に最終チェックができていないので、もっと良いセットアップで決勝をスタートできていれば…と心残りではあります。マシン的には問題はなかったですが、自分で評価すれば、<及第点>というところでしょうか。ダメージを受けたディフューザーなどは、交換すれば同じ部品なので問題はないのですが、アンチロールバーについてはチェックをしたかったところでしたができなかった。それができていたなら、タイヤのパフォーマンスをもっと維持できたかもしれません。走り出した状態では、この結果がいっぱい、いっぱいでした。」

伊藤 大輔 36号車監督

「予選を終えて、どのような作戦で順位を上げるか相当悩みました。セーフティーカー(SC)、フルコースイエロー(FCY)などがあった場合のことも考慮しましたが、SCやFCYがあったとしても、マシンがコースのどこにいるかが問題で、運が良ければピットインのタイミングで順位を上げられることもある。でも運が悪ければ逆になる。やはり運に任せることは止めて、手堅く組み立てる作戦を執りました。ジュリアーノにミニマムラップ、坪井にロング、マックスの周回数を託した結果、順位を上げてフィニッシュすることができました。今我々が持っている力を出し切って得られた結果だと思います。」

舘 信秀 総監督

「36号車のパフォーマンスが良いことは分かっていたが、それを結果に結びつけられなかった第7戦だった。スターティンググリッドの降格、決勝直前のコースオフと、ネガティブなことが連続して発生し、精神的には落ち込む状況で決勝を迎えなければならなかった。決勝の時刻が迫る中で、メカニックたちが迅速に破損したパーツを交換、修復してくれた。彼らの力、パフォーマンスに助けられた。そして、走り出せば問題がなかったこと、また作戦が的中したことで、再びポイントを獲得できたことはポジティブなことだった。最終戦は走り出しから気分良くシーズンを終えたい。」