「あー、この頃はまだ自分の顔だったんですねー」と、感慨深げなのは26歳の娘さん。大学時代に使っていたガラケーから当時のプリントシールが大量に発見されました。
今のプリントシールは、撮影した画像を自由自在に“盛る”ことができますが、彼女のガラケーのディスプレイに現れたのは、まぎれもなく彼女の顔。
「あー、5〜6年前って“盛る”っていっても美白程度だったんですね(笑)。今みたいに自由に“変形”できると、こうしてあとで見てもグッとこないかもしれないですよね」
そんな彼女のとなりでお母さんが「あっ」と声をあげました「この着物……」。
娘さんが応じます。「あ、これって私やんな?」「うん、これはあんたやね」
実はこの着物、40年前に仕立てたもの。「晴れの日にはこれで」と、そもそもはお母さんのお母さんが、お母さんのお姉さんのために作ったそうです。
お母さんが続けます。
「姉が成人式で着ましたし、私も着ました。姉のところに女の子が2人できて、うちには3人いて……全員成人式はこの着物でした」
つまり、川崎さん家の女性たち、都合6人が40年にわたって受け継いできたことになります。「あ、でも成人式だけじゃなくて結婚式とか晴れの日は、全部これやったよ」と娘さん。
「最初作る時、“一生着るものだからちゃんとしたものにしよう”って言ってたんよ」
フォトブックを作るのに、モニターで過去の写真を眺める2人。
そこには同じ着物を着た従姉妹の姿もありました。
「一生着るどころか(笑)。もし私に娘が生まれたら、絶対着せようと思います」