コバヤシさんが本当に再起動したかったのは、右手に持った紫の1台でした。「高校1年生の時に家族旅行で行ったイタリアの写真が入ってるはずなんですよ。半日ぐらい探してようやく見つけて持ってきたんですけど……」
白いケータイが無事再起動したものの、パスワードでのロック解除にひと苦労。しばらくいろいろな数字を打ってみたあと……
「確か自分の生年月日にある数字を掛け合わせて……ホラきた!」
すぐに写真フォルダを確認してみると、まず出てきたのは中学生時代のご自分の自撮り写真。
「若いですねー」と笑うコバヤシさんの顔は、すぐに不思議そうな表情に。
「なんか……姉の自撮りが入ってるんですけど(笑)」
コバヤシさんの意向でお見せすることはできませんが、そこにはいたずらっぽい笑みを浮かべる少女が写っていました。
「やられた……」とコバヤシさん。「姉がどうやら勝手にパスワードを解除して僕のケータイに侵入していたようですね(笑)。当時、全部このパスワードを使っていたので……」。
しばしの沈黙のあと、「あ、もしかしたらあの貯金箱も……!」とコバヤシさん。中学時代、パスワードを設定できる貯金箱を使っていたことを電撃的に思い出したのです。小銭をコツコツ貯めていたはずが、その後、果たしてどうなったのか……。
「もしかしたら、アレも姉が!!!」
ほどなくお姉さんが、今暮らしているマレーシアから帰国するそう。「このケータイ見せて絶対問い詰めてみます!」と笑顔のコバヤシさんなのでした。