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episode 62

22歳で亡くなった親友のメール

Sherryさんが持ってきたのは、10代から20代前半のころに使っていたケータイたち。「高校時代の親友とのメールが見られないかと思ってきたんです」写真家の彼女は現在、お仕事もしながら結婚して幸せな家庭生活を送っているそう。今回どうしても当時の“おもいで”をよみがえらせたかった理由を語ってくれました。「親友は22歳の時、事故で亡くなってしまったんです。大学を卒業後、就職してまさに新入社員歓迎会の夜に。お酒は強かったはずなのに、酔っ払ってしまったらしくて……」そして、ケータイは見事に再起動。そのまま残っていた高校時代のメールを見つけたSherryさん、ぐっと噛みしめるような表情になりました。

「けっこうそっけないメールですね。送った内容が残っていないので、なんの話をしてるのかわからないな……」高校卒業後、Sherryさんは就職のため上京。空港で働きながら、ヘアメイクを目指す先輩に請われてモデルをしたり、ギターをマスターしてステージで歌ったり、まさに東京生活を謳歌していました。一方、親友は北海道の大学へ進学。「高校時代ほどやり取りはしていなかったけど、まだ親友だとは思っていて。時々メールもしていましたね」親友が亡くなったあと、親友とのメールはフォルダ分けして、決して消えないように鍵がかけられていました。柔らかな笑顔でディスプレイを見つめながら、少し目を潤ませているSherryさん。「……あ、これ私の21歳の誕生日だ」

見つけたのは、親友からのお祝いのメッセージ。

「まだここに、親友は生きていますね。今日は当時の親友と会話できたみたいな気持ちになれてよかったです」

プリントした写真は、最初の仕事の時に同僚と撮った1枚。

十数年前の笑顔、それは今の彼女と同じくらい希望と喜びに溢れるものでした。

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